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えーっと、今回は、その、ホローコーポレーションっていう話についてちょっと話してみようかな、と。ええとね、ホローコーポレーションって、まあ、直訳すると「空っぽの会社」って感じなんですけど、どういうことかって言うと、その、製造とかを外部に委託しちゃって、自社では企画とかブランドだけを持つような企業のことなんですよね。

あの、ヘンリー・フォードって、すごい垂直的な関係を重視してた人だったらしくて。あの、原材料が工場に入って、完成品が出てくるまで、全部自分でコントロールしたかったんだって。ブラジルのフォードランディアっていう地域は、彼がタイヤ用のゴムを栽培しようとして失敗した名残なんだよね。うん。ウィリアム・モリスも同じような考えで、自分の会社の車のこと、ほとんど全部自分で作りたかったみたい。

でもね、ゼネラルモーターズ(GM)の、あの、スローンっていう人は、もっと分散型の経営を信じてたらしいんだよね。だからかもしれないけど、GMが1926年に、車の車体を作ってたフィッシャーボディっていう会社を買収した話は、めちゃくちゃ有名で、論文とかにもいっぱい出てくるんだって。あの、経済学者のコースっていう人も、その話について論文を書いたくらいだし。

で、コースさんの論文によると、GMがフィッシャーボディを買収したけど、シャーシを作ってたA.O.スミスっていう会社は、独立したままだったんだって。A.O.スミスは、GMから結構離れた場所にあったんだけどね。フィッシャーボディは、GMの近くに工場を作ってた。同じような話なんだけど、片方は契約関係で、もう片方は組織の中の関係だったっていうことなんだよね。

フォードも、垂直統合にこだわってたけど、モデルTの車体はブリッグスっていう会社から買ってたんだって。ブリッグスは、クライスラーとかにも部品を供給してた会社ね。それから、フォードがイギリスに工場を作ったら、ブリッグスも一緒にイギリスに行ったんだって。あとね、フォードは、軸受けのケーシングを作る会社を買い取ったんだけど、ストライキが起きたら、設備とか幹部をデトロイトに移して、工場を閉鎖しちゃったらしいよ。うん。

ウィリアム・モリスも、同じような問題を抱えてたみたい。アメリカのバッドっていう会社が作った車体に感銘を受けて、バッドにイギリスに技術を持ち込ませて、自分の工場の向かいに会社を作らせたんだって。でも、うまくいかなくて、裁判沙汰になったりして、結局モリスは自分の持ち株を売ることになったんだって。バッドも撤退して、プレストスチールっていう会社になったんだけど、その会社は後に、モリスの会社とライバル会社が合併してできた会社に買収されたんだよね。

でさ、GMがフィッシャーボディを買って、A.O.スミスを買わなかったのはなんでかって言うと、たぶん、フィッシャー兄弟は、GMの幹部になりたかったけど、スミス一家は、独立を守りたかったんじゃないかっていう話もあるみたい。M&Aの専門家は、そういう「社会的な問題」っていうのを、こっそり話してるんだって。従業員とか地域社会への影響じゃなくて、誰がトップの座につくかっていう話をね。うん。

この「作るか、買うか」っていう問題は、昔からビジネスの世界で重要な問題だったんだけど、フォードとかモリスみたいに、全部自分でコントロールしようとする考え方から、現代の「ホローコーポレーション」っていう考え方に変わってきたんだよね。ホローコーポレーションっていう言葉は、1986年にビジネスウィークっていう雑誌の記事で、初めて使われたみたい。その記事では、現代の企業は、どんどん活動を外部の専門業者に委託するようになってるって書いてあったんだって。

この「作るか、買うか」っていう問題は、政治的な問題にもなってるよね。西側の経済は、南とか東の国に活動をアウトソーシングすることで、ダメージを受けてるのかどうか、とか。どの公共部門の活動を政府が自分で行って、どの活動を民間企業に委託するべきなのか、とか。

昔の製鉄所とかフォードの工場みたいな生産ラインは、今でもメキシコとかアジアにあるんだよね。皮肉なことに、現代の資本主義の言葉は、資本主義のアメリカよりも、共産主義の中国のビジネスをよく説明してるんだって。

あの、バングラデシュのタズリーンファッションっていう工場で火災が起きて、112人が亡くなったんだけど、そこには非常口がなくて、ドアもロックされてたんだって。バングラデシュは、レディ・トゥ・ウェアの主要な輸出国で、タズリーンみたいな工場で、若い女性たちが安い賃金で働いてるんだよね。バングラデシュの産業革命はまだ初期段階で、それは生産の性質とか労働者の扱いにも反映されてるんだって。歴史は繰り返さないけど、韻を踏むっていうことだね。うん。

経済発展のパターンもそうなんだって。バングラデシュは、憲法で社会主義共和国って定義されてるけど、実際には、軍とか政治エリートが支配してて、法律上の税金とか、不正な要求を産業に課してるんだって。ビジネスは、資本主義とか社会主義の言葉で理解するよりも、アメリカとか中国とかバングラデシュとか、それぞれの国の工業化の段階で理解する方がいいんだって。

1990年代から、グローバリゼーションについての本とか記事がたくさん出てきて、ニューヨークタイムズの記者のトーマス・フリードマンっていう人が、グローバリゼーションの指導的な提唱者になったんだって。フリードマンは、グローバルブランドとか国際的なサプライチェーンの重要性を指摘して、「世界はフラットだ」って言ったんだよね。

多くの人にとって、スポーツシューズの最大手小売業者のナイキは、「ホローコーポレーション」の典型なんだって。ジェラルド・デイビスっていう人は、アメリカ経済の「ナイキ化」について書いたくらいだよ。ナイキは、自分では何も製造してなくて、有名な「スウッシュ」のロゴが入った服とか靴は、全部アジアの工場で作られてるんだって。あの、タズリーンもナイキのサプライヤーじゃなかったけど、ウォルマートみたいなアメリカの企業のために製品を作ってたんだよね。スウッシュのロゴのデザインさえも、外部に委託したんだって。(35ドルで。)

共産主義国で最初のマクドナルドが、1988年にベオグラードにオープンしたんだけど、セルビアとクロアチアの戦争が始まる前に、セルビアのサッカーファンが「俺たちにはマクドナルドがあるぞ、お前らにはどこにあるんだ?」って歌ってたらしいよ。(直接的な原因ではないけど。)クロアチアで最初の支店がオープンしたのは、1995年のデイトン合意でユーゴスラビア紛争が終わった直後の1996年だったんだって。(これも、たぶん直接的な原因ではないけど。)フリードマンは、自分の主張をさらに洗練させて、統合されたサプライチェーンの存在が、武力紛争を防ぐっていう「デル理論」を唱えたんだけど、その理論は、2022年のロシアのウクライナ侵攻によって否定されたんだよね。

デイビスは、「ナイキ化」っていう言葉を褒め言葉として使うつもりはなかったんだって。批判の主な理由は2つあって、一番批判されてるのは、アウトソーシングで、多くの製造活動がイギリスとかアメリカから、主にアジアに移転したことなんだよね。その中には、非合理的な製造フェチの産物もあるんだけど、大規模な製造工場の消滅に伴う地域社会の破壊については、本当に心配する必要があるんだって。

この影響は、アウトソーシングされる国で経験されるんだよね。でも、もう一つの批判の源は、インソーシングされる国での影響に焦点を当ててるんだって。バングラデシュみたいな国の工場での収入とか労働条件は、グローバルノース(先進国)では受け入れられないほど低いんだよね。「活動家」からの圧力で、バングラデシュとか類似の国から購入してる多くの企業は、サプライヤーの基準を改善しようとしてるけど、その効果はわずかだって。バングラデシュの人口のほとんどは、世界銀行の基準で定義された貧困の中で生活してて、その基準は、1日の収入が2.15ドルなんだって。

だから、あなたが買うTシャツの小売価格は、それを作った労働者の1週間以上の賃金に相当するかもしれないんだよね。でも、あなたの購入は、バングラデシュの悲惨な経済状況の原因ではなくて、実際には、そこから脱出するための最も有望な希望なんだって。消費者と生産者の状況のコントラストに恥ずかしさを感じて、購入を避けるなら、バングラデシュの経済を助けるどころか、傷つけてることになるんだよね。

衣料品産業は、バングラデシュの輸出の80%以上を占めてて、その生産の多くは、小規模企業から来てて、そのメンバーは、搾取工場でささやかな能力を学んだんだって。あなたと、あなたが利用する小売業者は、デラー・ホサインみたいな不当な仲介業者を豊かにしてるかもしれないけど、彼は許容できる範囲を超えてるけど、普遍的な価値観を押し付けるのは非現実的なんだって。西側の企業は、自分たちの能力を貧しい国に輸出して、自国の基準よりも低いとしても、現地の期待に対して良い基準で運営することで、貧しい国を最も助けることができるんだって。もちろん、汚職が蔓延してたり、児童労働の虐待が蔓延してたりする場合みたいに、2つの間の緊張が大きすぎて、そこでビジネスを行うのが不可能になる場合もあるんだよね。

アップルは、フォックスコンっていう会社とか、TSMCっていう会社に、製品の製造を委託してるよね。第二次世界大戦後の東アジアの経済発展のペースは、経済史上最も注目に値するものの1つなんだって。1980年以降、台湾のGDPは平均して年間7.2%成長してて、1972年以降、韓国のGDPは年間10.8%成長してるんだって。中国の統計には懐疑的な見方もあるけど、その国の成長率も同様に注目に値するんだよね。

これらの国の経験は、収束の可能性を示してるんだって。かつて制度的な機能不全とか、国内的、国際的な紛争に妨げられてたこれらの国は、既知の技術とかビジネスプロセスで達成可能な最も効率的な資源の利用を記述する生産フロンティアで、すでに国々が採用してる技術とかビジネス方法を採用することができるんだって。これらの成功したアジア経済は、世界の利用可能な集合知にアクセスして、より完全に活用して、その結果、今ではそれ自体がインソーサーであり、アウトソーサーでもあるんだって。台湾のホンハイは、中国本土でアップル製品を製造してて、韓国のサムスンは、より付加価値の低い活動をベトナムみたいな貧しい国に移してるんだよね。グローバリゼーションには多くの批判者がいて、普遍的な利益からは程遠いけど、アダム・スミスの想像を超えた分業を可能にしたんだって。アジアの貧困の劇的な減少は、グローバリゼーションには、プリマークとかウォルマートで安い服を買う以上の利益があることを示してるんだよね。韓国とか台湾に続いて、中国とかインドは経済成長してて、中間層が急増してて、極度の貧困に苦しむ人が少なくなってるんだって。

コロナのパンデミックは、グローバルサプライチェーンの回復力について疑問を投げかけたんだよね。たぶん、パイプの漏れの症候群の事例があったんだって。企業は、短期的なコスト削減を追求して、混乱に対して脆弱になってしまったんだって。ロシアのウクライナ侵攻とか、ガザの紛争とか、台湾をめぐる中国の威嚇行動みたいな、新たな地政学的脅威の出現は、これらの懸念を高めてるんだって。

フランチャイズっていうのは、長い歴史があるんだよね。ヨーロッパの帝国主義プロジェクトは、事実上、オランダのVOCとか、イギリスのバージニア会社とか、東インド会社みたいな民間企業にフランチャイズ化されてたんだって。20世紀には、フランチャイズはより大きな規模になり、新たな重要性とか、はるかに穏やかな性格を帯びるようになったんだよね。

レイ・クロックっていう人は、ミルクシェイクを作るためのミキシングマシンのセールスマンだったんだって。彼の顧客には、モーリスとリチャード・マクドナルドっていう、カリフォルニア州サンバーナーディーノにあるハンバーガーレストランのオーナーがいたんだって。マクドナルド兄弟は、「スピーディーサービスシステム」っていうものを開発して、限られたメニューと、フレデリック・テイラーとかビル・クヌーセンが感心するような反復的なプロセスを使ってたんだって。兄弟は、自分たちの方法を他のレストランに売りたいと思ってて、クロックを代理人として雇ったんだよね。

みんな、その話がどうなったか知ってるよね。クロックが実施したフランチャイズモデルは、顧客に予測可能な製品を提供する厳格な標準化のプロセスを含んでたんだって。今日では、世界中の何千もの店舗で、ほぼ同じビッグマックを楽しむことができるんだよね。その方式はまた、経験の浅い個人が、わずかな資本と高い成功率で自分のビジネスを確立することも可能にしたんだって。

その方式は、他のファストフードチェーンとか、印刷屋から薬局、ホテルまで、多くのサービスビジネスで模倣されたんだって。共通のブランドは、マーケティングに役立つし、フランチャイジーは、サプライヤーとの交渉において、はるかに大きな交渉力を持つことができるんだよね。今日では、フランチャイズは、グローバルな会計事務所にも拡大してて、国固有の事業が世界中で1つの名前で取引されてるんだって。マクドナルドとKPMGは、ブランドとか評判が維持されるように、フランチャイジーの仕事を検査する必要があるんだよね。

フェイスブック、ツイッター、ユーチューブの顧客は、これらの企業のサプライヤーでもあるんだよね。eBayとかグーグルにも同じことが言えるんだって。デジタル時代は、新しいタイプの企業を生み出したんだって。AOLとタイムワーナーの悲惨な合併は、プラットフォームがコンテンツを所有する必要があるっていう誤った認識によって正当化されたんだけど、それは、ウィリアム・モリスが自分のユーザーマニュアルを印刷する必要があると思ったのと同じ誤りなんだって。

これらのすべての場合を理解するための鍵は、経済的なレント(超過利潤)の多くを集めるためには、競争優位性の源を制御するだけでいいっていうことを理解することなんだよね。スローンはそれを理解してたけど、フォードは理解してなかったんだって。タイムワーナーは、カサブランカとか「ハッピーバースデー」を配布するためにAOLを所有する必要はなかったんだって。競争企業は、自分たちのプラットフォームで製品へのアクセスを提供する権利を得るために戦うだろうから。そして、AOLはすぐに、他の多くのソーシャルメディアプラットフォームに追い越されてしまったんだって。タイムワーナーの競争優位性は明確で永続的だったけど、AOLの競争優位性は弱く、一時的なものだったんだよね。

「ギグエコノミー」は、サプライチェーンの崩壊をさらに進めたんだって。IKEAのタスクラビットとか、Amazonのメカニカルタークは、タスクを探してる個人と、サービスを必要としてる消費者をつないでるんだって。契約看護とか、フリーランスのグラフィックデザイナーみたいな多様なサービスを含むギャラップ調査によると、働くアメリカ人の3分の1以上が、これらのフリーランス活動から少なくとも一部の収入を得てるんだって。

AirbnbとかUberは、プラットフォームとフランチャイズの両方の特性を持ってるんだって。プラットフォームとしては、ホストとゲスト、乗客とドライバーをつなぎ、フランチャイズとしては、宿泊施設の品質とか、運転手の信頼性を監視しようとしなければならないんだよね。2019年に、Uberは500万人のドライバーを報告したけど、その数はパンデミック以降減少してて、Airbnbは400万人のホストと700万件以上のリスティングを主張してるんだって。(世界最大の雇用主は、ウォルマートと中国軍で、それぞれ労働力は200万人強だって。)

これらのホローコーポレーションは、企業の活動が、企業が独特の能力を持ってて、競争優位性を享受してる生産チェーンの単一のリンクに絞り込まれてるっていう特徴を共有してるんだって。ビジネス史家のリチャード・ラングロワは、これを、企業景観の変化の重要な理由として特定してて、それは、起業家が比較優位性を持っていないビジネス機能を簡単にサポートできる「市場支援機関」の成長によって可能になったんだって。アセンブリーラインが20世紀の製造活動におけるビジネス方法の定義的なイノベーションだったとしたら、ホローコーポレーションは、21世紀のデジタル活動におけるビジネス方法の定義的なイノベーションかもしれないんだよね。うん。

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