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えっと、僕の研究生活、まあずっとそうなんですけど、友人とか、あとは「量子重力って結局何なの?」って興味津々な人たちから、ほんとよく聞かれるんですよね。「どうやって時間とか空間を考える新しい方法を研究してるの?」って。で、量子重力について、もっとこう、わかりやすく書いてほしいって、もう何度も言われてきて。宇宙論とか弦理論の本はもうたくさんあるじゃないですか。でも、空間と時間の量子的な本質、特にループ量子重力についての本って、まだあんまりないんですよね。

正直、長い間、ためらってたんですよ。研究に集中したかったから。でも、数年前に、この研究テーマに関する専門的な本を書き終えて、ようやく、多くの科学者の努力のおかげで、このテーマが、まあ、一般向けの本を出すのに十分な段階に達したかな、って思えるようになったんです。僕たちが探求している風景って、本当に魅力的で、それを隠しておくのはもったいないかな、って。

でもね、やっぱり、なかなか踏み切れなかったんです。僕の頭の中に、どうしても本のイメージが「見えなかった」んですよ。空間も時間もない世界をどう説明すればいいんだ?って。そんな中、2012年のある夜、イタリアからフランスへ車で一人で移動している途中、ふと気づいたんです。刻々と変化する空間と時間の概念を、わかりやすく説明する唯一の方法は、物語を最初から語り始めることだって。ほら、デモクリトスから始めて、空間の量子化に至るまで、順番にね。結局、僕自身がそうやって理解してきたんですから。

車を運転しながら、頭の中で本の全体像を組み立てていって、どんどん興奮してきたんです。そしたら、パトカーのサイレンが聞こえてきて、路肩に止められたんですよ。イタリアの警官に、「ものすごいスピードで運転してましたけど、頭おかしいんじゃないですか?」って、丁寧に聞かれて(笑)。僕は、「やっと探し求めていたアイデアを見つけたんです!」って説明したら、なんと、違反切符を切らずに解放してくれたんですよ!しかも、「本の成功を祈っています!」って、言ってくれて。それが、今、皆さんが読んでくれているこの本、ってわけです。

それで、この本を書き終えて、2014年の初めにイタリアで初めて出版されたんですね。その後、あるイタリアの新聞のために基礎物理学に関する記事をいくつか書きました。そうしたら、権威あるイタリアの出版社、アデルフィから、これらの記事を拡張して小冊子として出版しないか、って依頼されたんです。それが、あの『7つの短い物理講義』の始まりだったんですね。驚いたことに、それが国際的なベストセラーになって、世界中の素晴らしい読者の皆さんと、素敵なコミュニケーションのきっかけを作ってくれたんです。『7つの講義』は、この本の後に完成したもので、ある意味、ここで皆さんが目にするテーマをまとめたものなんです。もし、『7つの講義』をすでに読んでいて、もっと深く知りたい、描かれた奇妙な世界を深く旅したいと思っているなら、この本でさらに多くの発見があるはずです。

まあ、僕がここで提示する既存の物理学の説明は、僕自身の理解による独特の視点から提示されてはいるものの、そのほとんどは議論の余地のないものです。しかし、本書における現在の量子重力研究に関する記述は、あくまでも僕個人の研究現状の理解です。ここは、僕たちがすでに理解していることと、まだ理解していないことの境界領域であり、合意には程遠い場所です。物理学者の同僚の中には、僕がここで書いたことに同意する人もいれば、そうでない人もいるでしょう。最先端の研究を紹介する際には、このような状況は常に起こりえますが、最初から率直に言っておきたいと思います。これは、確定的な知識の本ではなく、未知の領域に冒険するための本なのです。

だから、全体として、これは旅行記なんです。人類の最もエキサイティングな旅の1つを描いたものなんです。この旅の中で、僕たちは現実に対する狭くて偏った視点から抜け出し、物事の構造に対する、より広範な理解へと向かっていきます。常識的な考え方から抜け出す、素晴らしい旅であり、そして、まだ終わっていない旅なんです。

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