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えーと、今回は「ビジネスがもっとうまくいくために」みたいな、そんな感じの話をしようかな、と思います。
なんか、テスラっていう人がね、自分の猫のマキャクを見てたら、暗くなってきてロウソクに火を灯したら、マキャクの周りに聖人のオーラみたいな光が見えたんだって。子供の頃のテスラにとって、それはものすごい衝撃だったみたいで。それから80年経っても、「電気って何だろう?」って自問自答してるんだけど、結局答えが見つからないんだってさ。うーん、深いね。
昔は、いろんな自然現象が、超自然的な力とか、説明できないものとして扱われてたんだよね。例えば、電気ウナギが獲物を痺れさせたり、雷が光ったり、金属を液体に入れるとカエルの筋肉が痙攣したりとか。でも、ルネサンスとか啓蒙主義の時代を経て、科学的な説明が超自然的な説明に取って代わるようになったんだよね。19世紀初頭には、科学者たちが、これらのバラバラに見える現象が、全部「電気」っていう力の一つの現れだって気づき始めたんだよね。
で、「電気を発見したのは誰?」っていう話になるんだけど。アメリカのベンジャミン・フランクリンが雷雨の中で凧揚げしたのが最初なのか? イタリアのアレッサンドロ・ボルタが化学的に電気を起こしたのが最初なのか? デンマークのハンス・エールステッドが電流と磁気の関係を示したのが最初なのか? イギリスのマイケル・ファラデーが磁力線を説明したのが最初なのか? スコットランドのジェームズ・クラーク・マクスウェルが過去の発見を統合して統一理論を作ったのが最初なのか? まあ、みんな「電気を発見した」って言えるんだよね。結局、知識っていうのは、多くの人が積み重ねてきたもので、みんなのものなんだよね。
で、この電気に関する知識がどんどん進歩して、その知識を実際の問題に応用する「集合知」が生まれてきたんだよね。フランクリンの実験がきっかけで、高い建物に避雷針が設置されるようになったし。ドイツの数学者カール・ガウスは、電気信号で通信ができるっていうアイデアを思いついたんだけど、まさか今みたいに通信が発達するとは思ってなかっただろうね。肖像画家だったサミュエル・モールスは、ガウスとかプリンストンのジョセフ・ヘンリーの協力を得て、電信を作るための資金を議会から調達することに成功したんだよね。モールスはそれで大金持ちになったんだけど、電気通信の特許を巡って最高裁判所まで争うことになったんだって。
アレクサンダー・グラハム・ベルは、聴覚障害者の妻、メイベル・ハバードとのコミュニケーションを助けるために、音声の振動について研究してたんだよね。ベルは、その振動を電気で伝えて再現できることに気づいて、電話を発明したんだよね。メイベルの父親の協力もあって、ベルの会社が設立されて、アメリカの電話市場を独占したんだけど、1982年に裁判所の命令で分割されたんだよね。
他にも、同じようなアイデアを持ってる人はいたんだよね。ベルの電話に脅威を感じたウェスタンユニオンは、トーマス・エジソンに改良を依頼したんだよね。エジソンは、その後、蓄音機を特許取得したり、電気照明とか電気の実用化を積極的に推進したんだよね。エジソンには、ニコラ・テスラっていうライバルもいて。テスラは、交流(AC)を推進して、エジソンの直流(DC)を打ち負かしたんだよね。「電気モーターの発明者」を検索すると、少なくとも12人くらいの名前が出てくるみたいだよ。
イーロン・マスクは、自分の自動車会社をニコラ・テスラにちなんで名付けたんだよね。テスラの「電流戦争」での勝利が、現代社会を形作るのに役立ったから。150年後には、マスクも同じように言われるようになるのかな? 今のところ、マスクほど公然と野心を示している人はいないよね。
フランクリンが雷雨の中で凧揚げしてから3世紀経って、今では、電気のない世界なんて想像できないよね。連絡手段が使者だけだったり、家庭の動力源が人力だけだったり、工場があっても一つのエンジンに頼ってた時代があったなんてね。
次は、飛行機の話。
昔から、人が空を飛ぶっていうのは、人々の想像力を刺激してきたんだよね。イカロスは、太陽に近づきすぎて翼が溶けて墜落したけど、鳥が羽ばたいて飛んでるのを見て、翼を羽ばたかせるのが空を飛ぶための鍵だと思ってたんだよね。でも、17世紀の科学革命で、飛行のメカニズムが理解され始めたんだよね。そして、今でも、科学者やエンジニアは、飛行機が空を飛ぶ仕組みを理解してるけど、なぜ飛べるのかを完全に理解してるわけではないんだって。
ロバート・フックっていうイギリスの博学者が、物体は、十分な推進力があれば、地上に落ちる必要はないって気づいたんだよね。槍とか円盤が、ある程度の距離を飛んでから地面に落ちるっていうのは、昔から観察されてたんだよね。でも、蒸気機関が発明されるまで、戦車とか馬車を動かすための推進力を得る手段がなかったんだよね。動力源は、人間を含む動物とか、風とか水とか、それと、車輪っていう画期的な発明しかなかったんだよね。
ジェームズ・ワットが蒸気機関の効率を大幅に向上させたんだよね。ワットの技術的なブレークスルーが、既存の技術に加わって、産業革命の象徴的な製品が生まれたんだよね。ワットのエンジン開発には、資金だけでなく、マシュー・ボールトンのビジネス手腕も必要だったんだよね。ボールトンとワットの会社が成功したのは、ウィリアム・マードックっていう発明家の天才的な才能のおかげでもあるんだよね。マードックは、ワットの設計に重要な改良をたくさん加えたんだよね。効率的な蒸気機関の開発は、産業革命の最も重要なきっかけになったと言えるよね。それは、17世紀に始まった科学革命で蓄積された知識と、マードックの技術的な専門知識、ボールトンのビジネススキルと資金力、ワットの発明の才能が組み合わさった結果なんだよね。250年後のiPhoneの開発も、同じように、知識と能力の組み合わせによって生まれたんだよね。
多くの人が、蒸気機関を使って船を動かそうとしたけど、商業的には成功しなかったんだよね。でも、1804年に、リチャード・トレヴィシックが、車輪の上にエンジンを載せるっていうアイデアを思いついたんだよね。ジョージ・スチーブンソンは、石炭を港まで運ぶために作られたストックトン・アンド・ダーリントン鉄道の建設責任者を説得して、馬だけでなく、車輪付きの蒸気機関も使うようにしたんだよね。1825年の開業時には、「実験」と名付けられた車両に地元の要人が乗ったんだよね。次のステップは、明白で、革命的だったんだよね。鉱山から港まで移動したい人は少なかったけど、リバプールとマンチェスターの間を移動したい人はたくさんいたんだよね。2つの都市を結ぶ路線は、1830年に旅客輸送のために開通したんだよね。それから50年も経たないうちに、鉄道はアメリカの大西洋岸と太平洋岸を結んだんだよね。19世紀には、技術とビジネス組織が着実に進歩して、世紀末には蒸気船が太平洋を横断してたんだよね。でも、初期のエンジンの重量あたりの出力は、航空を現実的なものにするには程遠かったんだよね。蒸気タービンの開発が、海上輸送に革命をもたらしたんだよね。それでも、石炭を燃料とする航空機っていうコンセプトは、今では笑えるけど、19世紀の先見の明のある人たちにとっては、想像の範囲内だったんだよね。スコットランドの化学者ジェームズ・ヤングは、鉱物油の可能性に気づいて、エドワード・ビニーとエドワード・メルドムと協力して、頁岩から鉱物油を抽出したんだよね。新しい燃料は、別の進化の道を開き、内燃機関の開発につながり、自動車を動かすための動力源として使われるようになったんだよね。
ライト兄弟が、自力で離陸する最初の固定翼機を作ったのは、みんな知ってるよね。
有人飛行は、20世紀初頭に、科学者による知識の蓄積と、エンジニアによる集合知への翻訳の結果として実現したんだよね。その後の1世紀で、ビジネスパーソンは、これらの技術的な能力と、商業製品を開発するために必要な組織的な能力を組み合わせることになったんだよね。1967年に、最初のボーイング737が就航して。その後50年間で、1万機以上が製造されたんだよね。747ジャンボジェットは、1969年に初飛行したんだよね。ヨーロッパのエアバスコンソーシアムは、短距離のA320と、大型のA380で、これらの飛行機に対抗したんだよね。
エアバスA320は、現代で最も複雑な工業製品の一つだよね。飛行機の組み立て、飛行計画、航空機の管理に関するすべてのプロセスを記述したマニュアルは存在しないし、存在し得ないんだよね。エアバスコンソーシアム自体が、複雑な国際ネットワークなんだよね。A320の前部胴体はフランスのサン=ナゼールで、水平安定板はスペインのヘタフェで、翼はウェールズのブロートンで製造されてるんだよね。その他の部品も、西ヨーロッパの他の場所で作られてるんだよね。部品は、専用の輸送ネットワークで、フランスのトゥールーズにある組立工場に運ばれるんだよね。エアバスは、部品を輸送するために、特別に設計された飛行機まで持ってるんだよね。完成した飛行機は、フランスからドイツのハンブルクに空輸されて、そこで内装が取り付けられるんだよね。
「学習曲線」っていう言葉は、今では、気軽に、広く使われてるけど、アダム・スミスがピン工場で観察した現象を説明するために作られたんだよね。個人は、ルーチンワークを繰り返すうちに、通常は徐々にだけど、上達していくんだよね。「経験曲線」は、集団的な努力における同じ現象を説明してるんだよね。この効果は、航空機製造で最初に定量化されたんだよね。飛行機一台あたりのコストは、生産台数が増えるごとに低下して、累積生産量が2倍になると、一台あたりのコストが約15%削減されるんだよね。経験曲線は、集団の能力開発における、知識とノウハウの成長の結果なんだよね。
飛行機の設計は、ライト兄弟が初めて飛行機を飛ばして以来、段階的に進化してきたんだよね。そして、広範囲な信頼、協力、知識の共有が不可欠なんだよね。無数の小さな進歩が積み重なって、ライト兄弟の飛行機から、400人の乗客を17,000マイル運ぶことができる飛行機ができたんだよね。情報技術の無数の開発に基づいた「フライ・バイ・ワイヤ」システムは、原理的には、パイロットなしでロンドンからシドニーまで飛行機を飛ばすことができることを意味してるんだよね。そして、シドニー(またはどこでも)へ飛行するには、予約システム、地上業務、航空会社コンソーシアム、国際航空管制を含む複雑なネットワークが必要なんだよね。アダム・スミスの代表作は、最初の艦隊がオーストラリアに上陸する12年前に出版されて、最初のエアバスが製造される200年以上前のことなんだよね。でも、スミスは、現代の分業の有効性を認識して、きっと驚嘆するだろうね。分業には交換が必要なんだよね。そして、交換には価値の概念が必要なんだよね。
「衆愚の知恵」っていう概念は、アリストテレスに由来すると言われることが多いんだよね。この本にも頻繁に登場する人物だよね。このフレーズを現代に広めたのは、アメリカのジャーナリスト、ジェームズ・スロウィッキーなんだよね。彼の「衆愚の知恵」に関するエッセイは、フランシス・ゴルトンの有名な観察から始まってるんだよね。ある田舎の品評会で、参加者は牛の体重を当てるように招待されたんだよね。ゴルトンは、広く分散したすべての推測の中央値(または平均)が、正しい体重に近いことに気づいたんだよね。
ゴルトンの観察は、効率的市場仮説と密接に関連してるんだよね。投資家ベンジャミン・グレアムが提唱した、「市場を投票機械、投資を計量機械として区別する」っていう考え方とも関連してるんだよね。
でも、アリストテレスが念頭に置いていたのは、体重当てゲームとか、効率的市場仮説じゃなかったんだよね。彼が言いたかったのは、平均ではなくて、集合なんだよね。彼は、専門知識の重要性も認めていたんだよね。「飛行機を飛ばすには、パイロット、スケジュール担当者、航空管制官などの専門知識が必要だけど、乗客の平均的な意見は必要ない」ってことなんだよね。