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Calculating...

えーっと、今回はね、まあ、企業の合併とか買収、M&Aの話をちょっとしようかな、と。なんか、これって、ほんと、ずーっと昔からある話なんだけど、時代によって、その目的とか、やり方が結構変わってきてるんだよね。

もともとはね、1960年代くらいまでは、結構、同じような業種の会社同士がくっつく、みたいなのが多かったらしいの。例えば、鉄鋼会社同士とかね。あとは、まあ、自分の会社の部品を作ってる会社を買収したり、逆に、商品を売ってくれる販売店を買ったり、みたいな、ちょっと縦のつながりを強くするようなケースもあったみたい。

でも、その後、いろんな理由をつけて、全然違う業種の会社がくっつく、みたいなのが増えてきて、M&Aっていう言葉が、なんか、企業の言葉として、すごい重要になってきたんだよね。なんか、足し算じゃなくて、掛け算になる、みたいな、そういうイメージで。

で、その背景には、なんか、すごい優秀な経営者なら、どんな会社でもうまく経営できるはずだ、みたいな、ちょっと大胆な考え方があったみたいで。リットンとか、LTVとか、テレダインとか、そういうコングロマリット企業が、一気に大きくなったんだよね。

あと、経済学者とかも、そういう動きを後押しするような理論を出してきて。なんか、会社の経営権を、一番うまく使える人に渡すための市場があるんだ、みたいな。それを「企業の支配市場」っていう、ちょっとかっこいい名前で呼んでたらしい。

で、その中でも、特にすごかったのが、ITTっていう会社。元々は、国際電話の会社だったんだけど、ハロルド・ジェニーンっていう人がCEOになってから、ホテルとか、レンタカーとか、保険会社とか、もう、ほんと、関係ない会社をどんどん買収していったんだよね。でも、いろんな国でビジネスをしてたから、政治的な問題にも巻き込まれたりして、結局、うまくいかなくなっちゃって、ジェニーンが辞めた後、バラバラに解体されたらしい。LTVも、その後、倒産しちゃったしね。

なんか、結局、全部のパーツをくっつけたよりも、バラバラにした方が価値がある、みたいなことになっちゃったんだよね。

で、M&Aって、昔は、もっと友好的なものだったらしいんだけど、だんだん、敵対的なものも増えてきたんだよね。株主に直接、買収を提案する、みたいなやり方も出てきて。

チャールズ・クローっていうイギリスの金融家が、「テイクオーバー」っていう言葉を作ったって言われてるんだけど。彼が、靴屋のチェーンを買収しようとしたときに、その靴屋が持ってる不動産の価値の方が、靴屋のビジネスよりも高いって気づいたんだよね。それで、土地目当てに買収を仕掛けた、みたいな。

で、その後、サー・アイヴァン・ステデフォードっていう人が、イギリスのアルミニウム会社に対して、ヨーロッパで初めての敵対的買収を仕掛けたんだよね。それまでは、そんなこと、誰もやらなかったんだけど、彼が成功したことで、どんどん、そういうやり方が広がっていったんだって。

あの、イギリス最大の会社だった、ICIっていう会社も、ライバル会社の買収に失敗したけど、その買収騒動がきっかけで、会社が生き返ったり、みたいなこともあったらしい。

1970年代には、アメリカの投資銀行であるモルガン・スタンレーが、敵対的買収に加担する、みたいなことも起きて、もう、それまでとは、なんか、全然違う時代になったんだよね。会社の規模とか、立場に関係なく、いつ、どこから、買収されるかわからない、みたいな。

で、1980年代には、アメリカで、「ジャンク債」っていう、ちょっと危ないけど、利回りの高い債券を使って、大企業を買収する、みたいなことが流行って、RJRナビスコっていう、食品とタバコの会社が、とんでもない金額で買収されたりしたんだよね。

その会社のCEOだった、ロス・ジョンソンっていう人が、すごい贅沢な生活をしてて、自分の犬のために、会社のジェット機を使ってたりしたんだけど、そういう無駄遣いが、買収される原因の一つになったとも言われてるんだよね。

でも、そういう買収も、結局、うまくいかなくて、会社が破綻したり、みたいなこともあったらしい。

プライベート・エクイティ・ファンドっていうのが、企業を買収して、リストラとかして、短期的な利益を上げる、みたいなこともよくあったんだけど、そういうやり方って、結局、会社の価値を下げることにもつながるんだよね。

まあ、もちろん、プライベート・エクイティ・ファンドが、中小企業の成長を助ける、みたいなケースもあるんだけど、悪いことの方が多かったみたい。

で、1990年代になると、ちょっと落ち着いたんだけど、2000年代に入ると、また、ITバブルで、とんでもない金額のM&Aが行われたりして。

2008年の金融危機の後も、M&Aは続いたし、なんと、ディールを「アート」だと考えてた人が、アメリカの大統領になったりもしたんだよね。

なんか、その人が言ってた「素晴らしいディール」っていうのが、結局、20世紀の偉大な企業を破壊することになったりして、本当に、皮肉な話だよね。

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