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Calculating...

えー、皆さん、こんにちは。今日は、なんか、時間の捉え方について、ちょっと深掘りしてみたいなと思ってます。

あの、皆さんも見たことあるかもしれないんですけど、「Your Life in Weeks」っていう画像、ありますよね?四角いマスがいっぱい並んでて、あれが自分の人生の週の数だって表してるやつ。あれ、なんか衝撃的ですよね。ブログで有名になったみたいなんですけど、あれ見ると、人生って、ほんと、あっという間だなーって、改めて感じちゃいますよね。

で、あの画像見ると、「この限られた時間を、ちゃんと使わないと!」って思うじゃないですか。で、そこで登場するのが、タイムマネジメントっていう考え方。効率よく時間を使って、できるだけたくさんのことを詰め込もうとする。でも、それが、逆にプレッシャーになって、焦りとか不安につながっちゃうことって、ありますよね。ドイツ語で「Torschlusspanik」、締め切りに対する恐怖、っていうらしいんですけど、まさにそんな感じ。

実は、この本のために、「燃え尽き症候群から回復した人」にインタビューさせてほしいって呼びかけたら、世界中から、ほんとにたくさんの人が手を挙げてくれたんですよ。エンジニアとか、スタートアップの創業者とか、もちろんいましたけど、ギリシャの教育者とか、アメリカ南部の看護師さんとか、カナダのエグゼクティブコーチとか、ほんとにいろんな人がいて。効率至上主義の罠って、誰にでも陥る可能性があるんだなって、改めて思いました。

で、みんなが口を揃えて言うのが、「とにかく頑張って、効率を追求したら、結局、燃え尽きちゃった」ってこと。睡眠障害になったり、体調を崩したり、人間関係が壊れたり…。ある人は、「ゆっくり時間をかけて、今この瞬間を楽しむことができなくなった」って言ってて、また別の人は、「車で行ける距離でも、あえて歩くことを学び直した」って言ってましたね。

で、結局、どうすればいいのか?燃え尽きることなく、人生を充実させられるのか?その答えは、時間の捉え方、時間の使い方を、根本的に変えることにあると思うんです。

現代社会では、生産性の高い人間であることが、一種の義務みたいになってますよね。マネジメントの理論家であるピーター・ドラッカーって人が、「20世紀の経済的、社会的な発展は、労働者の生産性向上によってもたらされた」って言ってるんですけど、なんか、それ聞くと、自分の価値って、どれだけ成果を出せるかで決まるんじゃないかって、錯覚しちゃうんですよね。

小さい頃から、親とか先生とか、周りの大人が、成績とかスキルアップとか、週末の予定とか、とにかく「何かを成し遂げること」を重視してると、それが当たり前になっちゃって。親とか先生の承認欲求が、いつの間にか、周りの人からの承認欲求に変わって、無理なスケジュールを組んだり、仕事中毒になったり、忙しい自慢をしたり…みたいな。

で、時間を、「効率よく利用するべき資源」みたいに捉えちゃうんですよね。短時間で最大の成果を出すとか、目標を達成するために、常に努力するとか。時間をお金みたいに考えて、「費やす」とか「投資する」とか「節約する」とか。で、何かをするためには、必ず目に見える成果が必要だ、みたいな。そうなると、生産性は美徳で、好奇心は邪魔者、みたいな考え方になっちゃう。

もちろん、好奇心を大切にする環境で育ったとしても、人生の転換期とか、ストレスが多い時期って、どうしても仕事に没頭しちゃうことって、ありますよね。卒業とか、昇進とか、転職とか、引っ越しとか、出産とか、親の死とか…。そういう、人生の大きな変化の時に、無意識のうちに、何かをコントロールしようとして、生産性至上主義に陥ってしまう。

あとは、神経発達症、ニューロダイバーシティも、関係あるかもしれないですね。自閉スペクトラム症の人の「モノトロピズム」とか、ADHDの人の「ハイパーフォーカス」とか、特定のことに集中しやすい傾向があるんですけど、それが生産性に向かうと、とことん追求しちゃう。生産性に関するセミナーを受けたり、アプリをインストールしたり、テンプレートをダウンロードしたり…結局、それが作業の邪魔になったりするんですけどね。

いずれにしても、そういう、「有害な生産性」っていうのが、無意識のうちに、自分の行動を左右して、常に成果を求めたり、休息とか内省とか、意味のある活動を軽視したりするようになる。すべてのプロジェクトに、明確な目標が必要で、会話も事務的になって、遊び心とか、静かな瞑想とか、そういう「非生産的」な時間、一番深い洞察が生まれるような時間、が、どんどんなくなっていく。

でも、正直、誰も、そんな生き方、したくないですよね。自分の考えを表現したり、人と繋がりたい、世界を探求したい。生産性っていうのは、あくまで、そのための手段であって、人生を犠牲にしてまで、追求するものではないと思うんです。

幸いなことに、この有害な生産性から抜け出す方法はあります。少なくとも一時的に、カレンダーとかタイマーとか、ToDoリストとかを全部捨てて、もっと充実した時間の使い方を、受け入れる必要があるんです。

で、そこで大事になってくるのが、「時間管理」の考え方を超えて、「時間の質」を重視するっていうこと。

古代ギリシャには、「時間」を表す言葉が、二つあったんです。「クロノス」と「カイロス」。クロノスは、量的な時間のことで、時計とかカレンダーとか、生産性とか、目標達成とか、そういう時間のこと。で、カイロスは、質的な時間のことで、その瞬間、その瞬間の価値とか、意味とか、そういう時間のこと。

「クロノス」の時間に支配されてると、常に時間に追われて、焦りとか不安を感じてしまう。でも、「カイロス」の時間を大切にすることで、時間の流れ方が、全く違ってくる。

例えば、子どもの頃の夏休みって、すごく長く感じませんでした?逆に、大人になると、一年があっという間に過ぎていく。それって、感情とか、集中力とか、いろんな要素が、時間の感じ方に影響を与えてるからなんですよね。

つまり、時間っていうのは、均一なものではなくて、すごく個人的で、流動的なものなんです。だから、あの「Your Life in Weeks」の画像も、本当は、もっとぐちゃぐちゃしてるはずなんですよね。

でも、そのぐちゃぐちゃの中にこそ、美しさがある。それは、自分の人生の可能性が、まだまだ広がっているっていうこと。量的な時間から、質的な時間へ。それが、より健康的な時間の使い方、より意味のある生き方への、第一歩になると思うんです。

「カイロス」っていうのは、まさに、その瞬間の質を重視する考え方で、それぞれの瞬間には、それぞれの意味がある、っていうこと。漁師さんが、潮の満ち引きを見て、一番獲れる時間に漁に出るように、私たちも、それぞれの瞬間の可能性を、見極める必要がある。

「カイロス」の瞬間っていうのは、例えば、好きなことに没頭して、時間の流れを忘れてしまうような時とか、大切な人と一緒に過ごす時とか、自分自身と向き合う時とか。そういう時に、「今、この瞬間が完璧だ」って感じる。

「カイロス」の視点を持つことで、日々の生活の中に、魔法のような瞬間、Magic Windows、を見つけることができる。

でも、現実は、なかなかそうはいかないですよね。仕事とか、予定とか、いろんな制約があって、自分の気持ちだけでは、どうにもならないことって、たくさんある。

そこで、大切になってくるのが、「カイロスの儀式」、Kairos Rituals、です。

例えば、瞑想するとか、お茶を淹れるとか、好きな音楽を聴くとか。そういう、ちょっとした行動を通して、自分の意識を高めて、集中力を高めて、その瞬間に、全力を注ぐことができる。

「カイロスの儀式」は、人それぞれ違っていいんです。音楽とか、香りとか、ストレッチとか、呼吸法とか、手書きで目標を書くとか。どんな行動でも、いいんですけど、ポイントは、

1. 実用性があること。オフィスで踊ったり、キャンドルを灯したりは、なかなか難しいですよね。いつでも、どこでも、簡単にできること。
2. 自分自身に響くこと。やらなきゃいけないことじゃなくて、やりたいこと、楽しいこと。

そういう儀式を持つことで、いつでも、「カイロスの状態」に切り替えて、自分のエネルギーレベルに合わせて、集中力を高めて、感情と繋がることができる。

そして、もう一つ大切なのは、エネルギー、認知機能、感情、この3つの資源を、うまく管理すること。

エネルギーを管理するためには、自分の体内時計、サーカディアンリズムを知って、自分のエネルギーレベルが高い時間に、集中力を要するタスクを行う。

認知機能を管理するためには、マルチタスクを避けて、一つのことに集中する。周りの環境にも気を配って、集中できる環境を作る。

感情を管理するためには、自分の感情に気づいて、ストレス反応を抑える。軽い運動をしたり、深呼吸をしたり、リラックスできる時間を作る。

これらのことを意識することで、仕事もプライベートも、両方充実した、豊かな人生を送ることができると思うんです。

最後に、もう一度、3つの問いをまとめます。

* 自分のエネルギーは、いつピークになるか?
* その時間に、何をするのが最適か?
* どのようにすれば、その状態を維持できるか?

この3つの問いに答えることで、あなたは、より充実した人生を送ることができるはずです。

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