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えー、今回は体のリズムについて、ちょっと話してみようかな。
あのね、昔は、頭を使う仕事と体を使う仕事って、もう切っても切れない関係だったんだよね。心と体がお互いを補い合って、仕事も、休息も、遊びも、全部が繋がってたっていうか。それをすごく分かりやすく示してるのが、BBCのドキュメンタリー番組の「The Life of Mammals」っていうやつで、あのデビッド・アッテンボローが出てくるやつね。
その中の「Food for Thought」っていうエピソードで、アッテンボローがカラハリ砂漠に住むサン族の人たちがクドゥっていう動物を狩る様子を追ってるんだけど、これがすごいんだ。狩人たちは何時間もかけてクドゥの足跡を追うんだけど、その間、一定のペースで動きながら、まるでトランス状態に入ったみたいな集中力を見せるんだよね。で、一頭のクドゥが群れから離れると、狩人のカロハっていう人が追いかけるんだけど、途中でそのクドゥの足跡が消えちゃうんだ。そこでカロハは立ち止まって、何が起こったのか考えようとするんだよね。じっと立って、ゆっくり歩きながら、頭の中でクドゥの軌跡を辿ろうとする。この時、狩人の思考と動き、心のペースと体のスピードが、もう寸分違わず一致してるんだよね。
でもね、産業革命以降、特に工場のライン作業が主流になってから、体と心の分離が始まったんだよね。体は働いてるんだけど、心はまるで眠ってるみたいっていうか。で、最近は、知識労働が主流になって、その逆のパターンが増えてきた。つまり、心は働いてるんだけど、体は眠ってるっていう状態ね。この分離が、心に送られてくるはずだった体の様々な信号を奪って、心の状態を調整するのを難しくしてるんだよね。体の声を聞かなくなった脳は、適切なタイミングで適切な状態になるために、余計に頑張らなきゃいけなくなって、結局、間違った状態に迷い込んじゃうんだよね。
そこで、今回は、体のリズムがどのように心に影響を与えるのか、大きく分けて二つのルートから説明してみたいと思うんだ。一つは体の動き、もう一つは目の動きね。
まずは、体の動きから。アッテンボローのドキュメンタリーが示しているように、産業革命以前は、体と心の連携が生活の基本だったんだよね。この連携は、現代の知識労働者の生活にも、いくらか形を変えて残ってるんだ。例えば、心がパニックになると、体もそれに反応するでしょ?あれもその名残なんだよね。で、体の状態を意識的に変えることで、心の状態を調整することができるんだ。
そのための重要な要素の一つが、自律神経系っていう神経ネットワークなんだ。自律神経系は、私たちが何をしているかを常に監視して、体のパワーとペースを調整してるんだよね。その調整には、交感神経っていうアクセルの役割をする神経と、副交感神経っていうブレーキの役割をする神経の二つが関わってるんだ。世界が求める行動の量に応じて、この二つの神経がバランスを取りながら、私たちの体を調整してるんだよね。
例えば、座った状態から立ち上がると、体は重力に逆らって血液を脳に送らなきゃいけないから、自律神経系がアクセルを踏むんだ。逆に、座ると、それほど頑張らなくてもよくなるから、ブレーキを踏む。で、基本的に、心のギアも自律神経系の動きと連動してるんだよね。だから、百メートル走の最中にぼーっとするのは難しいし(ギア3の状態)、体をストレッチすると心がリラックスする(ギア1の状態)っていうのは、そういうことなんだよね。
つまり、自律神経系の状態を変えることで、心のギアも変えることができる。自律神経系の状態は、体にかかる負荷によって変わるから、体にかかる負荷を調整することで、心のギアをコントロールできるんだ。
例えば、運動。運動をすると、安静時の状態よりも体への負荷が大きくなるから、ギアが上がるんだよね。運動の強度が高ければ高いほど、運動時間が長ければ長いほど、ギアを上げる効果も大きくなる。
で、運動をやめても、すぐにギアが下がるわけじゃないんだ。しばらく高い状態が続くんだよね。だから、運動した後って、頭がスッキリするでしょ?あれは、運動によってギアが上がった状態が続いているからなんだ。大体30分程度の適度な運動をすると、少なくとも30分間は、思考速度や精神的なパフォーマンスが向上することが分かってるんだよね。
この運動の効果は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人にとって特に重要かもしれない。ADHDの人って、ギアの調整が苦手な場合があるんだけど、運動することで、集中状態(ギア2)に入りやすくなるんだよね。ある研究では、ADHDの成人が30分間、適度な強さで自転車を漕ぐと、運動後40分以内に始める知的作業において、注意力と処理速度が向上したっていう結果が出てるんだ。
あと、筋肉の収縮もギアを上げる効果があるんだ。1943年のシカゴ大学の研究では、学生が算数や推論の問題を解く際に、単に筋肉を収縮させるだけで、パフォーマンスが向上することが分かったんだ。その後の研究でも、筋肉を収縮させると、自律神経系がアクセルを踏む方向に傾き、ギアが上がることが確認されてるんだよね。つまり、筋肉を緊張させるだけで、少なくともある程度は、気分をシャキッとさせて、ギアを上げることができるんだ。
2020年の南カリフォルニア大学の研究では、ストレスボールを18秒間握って、1分間リラックスさせるっていう動作を繰り返すと、集中力を必要とする精神的なテストの成績が向上することが分かったんだよね。
逆に、筋肉を収縮させた後にリラックスさせたり、ストレッチした後に力を抜いたりすると、自律神経系がブレーキを踏む方向に傾き、ギアが下がる。ハタヨガとか、漸進的筋弛緩法(PMR)っていうのは、このメカニズムを利用してるんだよね。
それから、体温も自律神経系によって調整されていて、体温が急激に上がったり下がったりすると、自律神経系が活発に働き出すんだ。熱いサウナに入ったり、冷たいシャワーを浴びたりすると、心拍数が上がるのは、そのためなんだよね。サウナと冷水シャワーは、体温を正反対の方向に変化させるけど、どちらも自律神経系が交感神経を刺激して、ギアを上げ、ノルアドレナリンの分泌を促すんだ。ちょっとした体温の変化でもギアが上がるから、朝、なかなかエンジンがかからない時に、熱いシャワーや冷たいシャワーを浴びると、シャキッとしてギア2に入れるんだよね。
ただ、寝る前に熱いお風呂に入ると、ちょっと逆の効果もあるんだ。お風呂から上がって体温が下がる過程で、ギアが下がって眠りやすくなるっていう効果もあるんだよね。
あと、呼吸も重要。ゆっくりとした呼吸、特に息を長く吐くことは、ギアを下げる効果があるんだよね。スタンフォード大学の研究者が、その理由を解明する手がかりを見つけたんだけど、脳の青い斑点ネットワークと呼吸のペースを司る脳の部位(プレベッツィンガー複合体)が、直接神経で繋がってるんだって。だから、呼吸をゆっくりにすると、青い斑点ネットワークの活動も穏やかになるんだよね。
1分間に5~6回のペースで呼吸すると、副交感神経を刺激する迷走神経が刺激されるんだ。この迷走神経を刺激することで、青い斑点ネットワークがギア2の状態になる可能性があるっていう研究結果も出てきているんだよね。つまり、不安やストレスでギア3に入ってしまった時に、呼吸を意識的にコントロールすることで、ギア2に戻ることができるかもしれないんだ。
でね、ここでちょっと面白いのが、「冷静な覚醒」っていう状態。警戒心が高まるとリラックスできなくなるし、リラックスすればするほど警戒心が薄れていくのが普通なんだけど、その中間地点に、冷静でありながら、集中力も高いっていう状態が存在するんだよね。理論的には、自律神経系のアクセルとブレーキの両方を同時に作動させれば、この状態に到達できる可能性があるんだけど、それを可能にするかもしれない活動がいくつかあるんだ。
その一つが、冷水浴。冷たい水に顔を浸すと、ダイビング反射っていう生理現象が起こって、副交感神経が刺激されて、心拍数とかがゆっくりになるんだよね。でも、冷たい水のショックで、交感神経も刺激されるから、体は警戒態勢に入る。研究者の中には、これが「自律神経系の混乱」を引き起こし、アクセルとブレーキの両方が同時に全開になる状態になるんじゃないかって考えてる人もいるんだよね。だから、冷水浴をすると、集中力が高まるのに、同時に深い安らぎも感じるっていう、不思議な状態になるのかもしれないんだ。
あと、ホットヨガ(ビクラムヨガとか)も似たような効果があるかもしれない。ハタヨガは、ストレッチとか筋肉の収縮と弛緩を繰り返すことで、副交感神経を刺激して、自律神経系を穏やかにするんだけど、ホットヨガの場合は、室温が42度くらいに設定されてるから、体が体温を下げようとして、交感神経も活発に働くんだよね。だから、ホットヨガの後って、集中力が高まると同時に、すごくリラックスした気分になるんだよね。他の活動ではなかなか味わえない感覚だよね。
さて、次は、目の動きについて。人の目の動きを見るだけで、その人の心の状態が分かることがあるよね。
例えば、昔の狩人が、朝起きたら10対のライオンの目に囲まれてたとしよう。その時、彼の視線は、きっとあちこちの目をせわしなく行き来するはずだよね。この行動は、脳の青い斑点ネットワークに危険信号を送って、ギアを上げるんだ。
逆に、違う朝に、今まで見たことのない不思議な植物を見つけたとしよう。その時、彼の視線は、その植物に長く留まって、じっくり観察するはずだよね。そうすると、心は詳細に注意を向けるギア2の状態に入るんだ。
このように、視線のパターンは、注意を向ける方法に影響を与えるから、ギアネットワークと密接な関係があるんだ。視線をコントロールすることで、集中状態(ギア2)に入ったり、創造性を高めることができるんだ。
まず、視線を狭めること。不安や興奮を感じている時って、目がキョロキョロするよね。でも、集中している時は、目がほとんど動かない。この性質を利用して、意識的に視線を固定することで、集中力を高めて、ギア2の状態に留まることができるんだ。このテクニックは、「Quiet Eye」と呼ばれていて、アーチェリーとかバスケットボール、射撃、手術など、高い集中力を必要とする場面で使われているんだ。瞑想でも、昔からこの方法が使われているよね。
外科医とか狙撃兵、狩人、テニスプレイヤーなどが、目標から3度以内の範囲に視線を固定して、100ミリ秒以上保持すると、そうでない人よりも良い成績を収めることができるっていう研究結果もあるんだ。
手術、特に眼科医とか脳神経外科医、血管外科医などの顕微鏡手術を行う場合、手が震えないことが重要になるんだけど、ギアが上がりすぎると、手の微細なコントロールが難しくなって、結紮(けっさつ)とかの作業に影響が出てしまうんだよね。Quiet Eyeのテクニックは、これを緩和するのに役立つと考えられているんだ。
すでに集中モードに入っている場合は、視線を固定してもあまり効果がないかもしれないけど、不安を感じて集中力が途切れそうになっている場合は、このテクニックが集中力を回復させるのに役立つかもしれない。
逆に、視線を広げること。何かに集中している時って、周りの状況に気づきにくくなるよね。ある研究によると、意識的に視野を広げることで、創造的な思考を促すことができるんだって。これは、Quiet Eyeテクニックとは、ある意味で逆の方法だよね。視野を広げることで、脳が周辺の情報も認識するようになり、今まで気づかなかった繋がりを発見しやすくなるのかもしれないんだ。
面白いことに、顔の表情も創造性に影響を与える可能性があるんだって。ある実験で、ハサミの新しい使い方を考える際に、眉を上げた状態を維持するように指示された参加者は、眉をひそめた状態を維持するように指示された参加者よりも、多くの独創的なアイデアを生み出したんだ。研究者たちは、眉をひそめることで注意の範囲が狭まり、眉を上げることで注意の範囲が広がったのではないかと推測しているんだよね。驚いたり、不思議に思ったりする時に眉を上げるのは、新しい状況に適応するために、より創造的で柔軟な思考を促すためなのかもしれないね。
それから、視線を外すこと。仕事に集中しすぎると、視野が狭くなって、全体像を見失ってしまうことがあるよね。そんな時は、一歩引いて、客観的に見ることが大切なんだ。
視線を外す方法の一つは、目を閉じること。まぶたはカーテンのようなもので、閉じると外部からの注意を引くものを遮断するんだ。目を閉じると、注意は内側に向き、記憶を掘り起こしたり、頭の中で問題を解決したりするのが容易になるんだよね。だから、人は考え事をしたり、創造的なアイデアを思いつこうとする時に、目を閉じることが多いんだ。仕事で悩んでいる時は、画面を見つめる代わりに、目を閉じて頭の中で問題をイメージすると、問題の深刻さが和らぎ、客観的な視点を得られるかもしれない。
もう一つの方法は、「何もないものを見る」こと。殺風景な壁とか、何もない空間は、注意を引くものが何もないから、注意が散漫になり、さまようんだ。退屈な会議とか、長時間のシャワー、皿洗いなども、注意を固定するものがないから、アイデアが浮かびやすい状況だと言えるよね。ウォーキングやジョギングをする時も、周囲の景色は常に動いているから、注意が固定されず、自由にさまよって、ふとした瞬間に、ハッとするようなアイデアが浮かぶことがあるんだ。
目の前のものから意識的に視線を外すことは、次の3つの点で役に立つんだ。
一つ目は、心をリセットして、問題から解放され、新鮮な目で問題を見つめ直し、客観的な視点を得ることができる。
二つ目は、心を休ませ、エネルギーをチャージすることができる。
三つ目は、注意を別のタスクに再配分したり、創造的なアイデアを探したりするために、注意を解放することができる。
特に、仕事中に頻繁に中断されたり、注意を別のことに切り替えたりする必要がある場合は、この点が重要になってくるんだ。注意が深く入り込んでいると、すぐに別のことに注意を向けるのが難しく感じるけど、注意を緩めてから移動させると、ずっと簡単に切り替えることができるんだ。マニュアル車のギアチェンジみたいなものだよね。新しいポジションに移動させる前に、一度ニュートラルに戻す必要があるんだ。
ただ、視線を外す時間が長すぎると、リラックスしすぎてギア1に落ちてしまい、一時的に集中力を失ってしまうことがある。そこで、ギア1に落ちないように、意識を保ちながら注意を散漫にする方法があるんだ。そのための最も効果的な方法の一つが、ウォーキングなんだ。
ウォーキングは、注意を自由にさまよわせながら、ギア2の状態を維持できるという、ユニークな精神状態を生み出すんだ。その理由は、次の3つの特徴にある。
まず、ウォーキングは、意識を保ちながらも、過度に緊張させない。ランニングはギア3に移行させてしまい、創造的なアイデアを阻害する可能性があるけど、ウォーキングは(体力レベルにもよるけど)通常、ギア2を超えないんだよね。ウォーキング中に新しいアイデアが浮かぶっていう話が多いのは、そのためかもしれない。
次に、ウォーキング中は、周囲の景色がゆっくりと過ぎていくから、景色を眺めることはできるけど、視線を固定することはできない。景色に注意を向けるけど、景色に注意が囚われることはないんだ。注意がさまよって、自分の心の中に入り込むと、頭の中で問題について考えることができるけど、動き続ける必要があるから、問題に深く入り込むことはできないんだよね。だから、常に広い視野を保ち、視点を繰り返しリフレッシュすることができるんだ。
3つ目に、周囲の景色が動いていると、脳は視野の周辺からより多くの視覚情報を処理するから、注意の範囲が広がるんだよね。
ウォーキングする場所も重要。トレッドミルで歩く場合は、周囲の景色がほとんど固定されているから、通常の道を歩くほど注意の範囲は広がらない。歩き方も重要。制限された歩き方をすると、注意の範囲が狭くなるんだ。決められたルートを注意深く辿るような、制限された歩き方では、自由で制限のない歩き方ほど創造的な思考は促進されないんだ。
面白いことに、この「制限」効果は、体の動き全般に当てはまるんだ。制限された座り方で、視線を固定しなければならない場合、自由な座り方をする場合よりも、創造性のスコアが低くなるんだ。手にも同じことが言えるんだよね。自由に手を動かす(例えば、落書きをする)と、創造性テストのスコアが上がるけど、直線を描くだけでは効果がないんだ。
最後に、覚醒剤について。紅茶やコーヒーは、私たちが意識を保ち、集中力を高めるために使う最も一般的なツールの一つだよね。これらの飲み物には、ギアを上げるカフェインが含まれているんだ。
カフェインは、ギアを上げる効果があるから、ストレスとか運動など、他のギアを上げる要因と組み合わせることで、相乗効果を生み出すことができるんだ。運動前にカフェインを摂取すると、適度な運動でも自律神経系が大きく反応し、ギアが上がった状態が長続きするんだよね。カフェインと運動の相乗効果を利用して、退屈でギア1に落ち込んでしまうのを遅らせたり、集中力を必要とする作業に最適な精神状態に持っていくことができるんだ。
カフェインは、ギアが低い状態から集中状態に入るのを助ける効果があるけど、すでにギア2またはギア3の状態にある場合は、集中するのが難しくなり、ノイズを除去する能力が低下する可能性があるんだよね。この状態では、意識は高いけど気が散りやすく、作業速度は上がるかもしれないけど、特に注意深い思考を必要とする作業では、ミスが増える可能性があるんだ。
カフェインが創造的な思考や問題解決能力に与える影響は、一概には言えないんだ。異なる要素を一つの説明や解決策にまとめる能力は高めるけど、固定観念にとらわれずに考えたり、独創的なアイデアを生み出す能力は高めないんだよね。ある実験では、日常的に適量のカフェインを摂取している人が、200ミリグラムのカフェイン(約350mlのコーヒー1杯分)を摂取すると、収束的思考能力が向上したけど、発散的思考能力やワーキングメモリは改善されなかったっていう結果が出てるんだ。カフェインは、ギアを上げる効果があるから、低いギアに戻りにくくなる可能性があるんだよね。
カフェインは、睡眠不足が当たり前で、注意力低下のリスクが高い職業の人にとっては、有用なツールとなるんだ。ある研究では、特殊部隊の隊員が、3日間、夜間は睡眠を取らず、午後に4時間の昼寝をするだけで過ごす間に、200ミリグラムのカフェインを1日に4回(夕方と朝にそれぞれ2回)摂取したところ、プラセボを摂取した隊員よりも、反応時間が速く、警戒心と注意力が高かったっていう結果が出てるんだ。
ただ、この量のカフェイン摂取は、戦場では命を救うかもしれないけど、一般的な知識労働者にはお勧めできないね。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療薬として処方されるような、他の覚醒剤も、ギアを上げる効果があるんだ。疲労とか睡眠不足、退屈などでギアが下がっている場合に、ギアを上げるのを楽にすることで、集中力を必要とする作業を楽に感じさせることができるんだ。集中力が高まっているように感じるかもしれないけど、覚醒剤によって得られた思考の質は、必ずしも最適とは限らないんだよね。覚醒剤は、少なくとも一時的には、意識を高めて疲労感を軽減させるかもしれないけど、疲労による脳の化学的な変化を元に戻すわけではないんだ。疲労しているにもかかわらず、ギアを高く保つことができるように、パフォーマンスと疲労を切り離すんだ。
疲労している時にギア1に引き戻そうとする脳の反射を覚醒剤で抑制すると、一日の終わりにギア1に移行するのを妨げる可能性があるんだ。不眠症が、覚醒剤の副作用として知られているのは、そのためなんだよね。
えー、今日はこんな感じで、体のリズムと心の状態について話してみました。ちょっと長くなっちゃったけど、最後まで聞いてくれてありがとうね。