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Calculating...

ええと、今回はちょっとお金の話でもしようかな。昔のお金持ち、ヤコブ・フッガーって知ってる?1485年頃の人なんだけどね。彼は若い頃から商才があって、家族の会社で頭角を現したんだ。

ある時、オーストリアに行って、大公ジギスムントっていう、まあ、浪費家の殿様に出会ったんだよね。この人がまたお金に困っててさ。でも、当時の銀行は、利息制限とかもあって、なかなかお金を貸したがらなかったんだ。

そこで、フッガーはチャンスだと思ったわけ。3000フローリンっていうお金を貸す代わりに、地元の鉱山から銀を安く手に入れる契約を結んだんだ。ジギスムント大公も喜んで、ちゃんと約束を守った。フッガーはその銀を高く売って、結構儲けたらしいよ。

でも、もっと重要なのは、この取引でヨーロッパの有力者とのコネができたこと。それから数年後、大公がまたお金に困って、フッガーに頼ったんだ。今度は10万フローリンっていう大金を貸して、さらに厳しい条件で返済を求めた。

大公はまた約束を守って、フッガーは晴れて大金持ちの仲間入りを果たしたんだよね。リスクを取って、きちんと見返りを求める商人、銀行家として名を馳せたんだ。

その後、フッガーのお金は世界の歴史を大きく動かすことになるんだ。王様とか、皇帝とか、探検家とか、みんな彼に資金援助を求めたんだよ。マゼランの世界一周航海とか、スペイン王カルロス1世が神聖ローマ皇帝になるためのお金とか、サン・ピエトロ大聖堂の建設費とか、とにかくいろんなことに彼の金が使われたんだ。

ちなみに、サン・ピエトロ大聖堂の建設費を返済するために、免罪符っていう、罪を償うチケットを売りまくったんだけど、それがマルティン・ルターの怒りを買って、宗教改革につながったっていう話もあるんだよね。

フッガーは会計方法も革新的だったんだ。複式簿記をいち早く取り入れたり、複数の事業をまとめて財務諸表にするっていう、今の会計基準を作ったんだ。おかげで、自分の会社の状況をきちんと把握できたんだよね。

亡くなる頃には、今の価値にして4000億ドル、ヨーロッパのGDPの約2%に相当する財産を築いたんだって。だから、「史上最も裕福な男」って呼ばれることもあるんだよ。

ジャーナリストのグレッグ・スタインメッツっていう人が、フッガーについて詳しく書いた本があるんだけど、その中で彼は、「フッガーの功績は、ほとんどの君主、革命家、預言者、詩人よりも歴史を変えた。彼のやり方は、5世紀にわたる資本家の道を開いた。彼は、富そのものを追求し、破滅を恐れない、最初の近代的なビジネスマンだった」って言ってるんだ。

でもね、フッガーって、お金のことしか考えてなかったみたいなんだよね。友達もほとんどいなくて、いたとしても仕事関係の人ばかり。唯一の子供は、実は婚外子だった。会社を継がせた甥っ子たちにも失望したみたいだし。死ぬ時も、そばにいたのは雇った人だけで、奥さんは愛人と一緒にいたんだって。

まあ、彼は自分でお金持ちになることを目標にしてたから、それは達成したんだろうけどね。快適さとか、幸せとか、そういうのは二の次だったんだ。お金を貯めることだけに人生を捧げたんだよね。

面白いことに、フッガーは自分のことをよくわかってたみたいで、「いつ引退するんですか?」って聞かれた時に、「お金への欲は決して満たされることはない」って答えたんだって。

さて、ここからが本題なんだけど、お金って、昔はもっと現実的なものだったんだよね。物々交換に使われたり、麦とか貝殻とか、貴金属とか、目に見えるものだった。

でも、今はどう?ほとんどがデジタルデータで、目に見えないよね。銀行口座の数字とか、クレジットカードの残高とか、全部画面の中にある数字でしかない。

お金の起源については、いろんな説があるんだけど、一番一般的なのは、物々交換が不便だから、お金が生まれたっていう説だよね。アダム・スミスっていう経済学者が、パン屋と肉屋がお互いのものを交換できないっていう例え話をしたんだけど、それが根拠になってるんだ。

でも、人類学者のデービッド・グレーバーは、物々交換はお金が普及した後に出てきたって言ってるんだよね。お金が足りない時に、一時的に物々交換をするっていうケースが多いんだって。

まあ、どっちにしても、お金が人類の発展に大きく貢献したのは間違いないよね。古代メソポタミアの遺跡からは、紀元前3500年頃の粘土板が見つかっていて、それが借金の記録に使われていたと考えられているんだ。文字の発明も、お金の管理のためだったっていう説もあるくらいなんだよ。

お金の形もいろいろ変わってきたよね。紀元前3000年頃には、シュメールで麦がお金として使われていたし、紀元前1200年頃には、タカラガイっていう貝殻が、エジプトとか中国とか、いろんな場所で使われていたんだ。持ち運びやすくて、珍しかったからね。

金属のお金とか、貨幣ができたのは、紀元前1000年頃の中国だって言われてる。今の貨幣は、紀元前6世紀のリディアっていう国で作られたのが最初らしい。貴金属でできてて、皇帝とか神様の絵が描かれていたから、価値があるって認められたんだよね。小さくて、持ち運びやすくて、偽造しにくいから、長い間、お金の主流になったんだ。

でも、紙幣が登場して、状況は一変したんだ。紙幣を大量生産したのは、元のフビライ・ハンなんだよね。マルコ・ポーロが中国に行った時に、紙幣を見てびっくりしたって記録があるよ。「この紙は、金や銀と同じように扱われる。偽造したら死刑だ」って書いてあったんだって。

最初は銀と交換できる紙幣だったんだけど、そのうち、何とでも交換できる、不換紙幣になったんだよね。ニューヨーカーっていう雑誌に、「新しいお金をみんなに使ってもらうのは難しい。フビライ・ハンは、それを見事に解決した。紙幣を使わない人は死刑にしたんだ」って書いてあったよ。

紙幣の発明は、大きな進歩だった。紙に価値があるって認めたのは、初めてのことだったからね。紙幣は、貿易を促進して、経済を成長させたから、世界中に広まっていったんだ。

さらに、イングランド銀行っていう民間企業が、金と交換できる紙幣を発行したんだ。銀行は、預かってる金よりも多くのお札を発行して、経済を刺激したんだよね。これが、今の銀行の仕組みの基礎になってるんだ。まあ、みんなが一度に金を引き出そうとすると、銀行が潰れちゃうんだけどね。2023年にシリコンバレー銀行が潰れたのも、それが原因だったんだ。

20世紀初頭までは、紙幣は金と交換できるっていうのが常識だった。アメリカでは、20.67ドルで1オンスの金と交換できたんだ。でも、世界恐慌の時に、みんなが一斉に金を引き出して、金の準備金がなくなっちゃったんだよね。

そこで、1931年にイングランド銀行が、1933年にアメリカが、金本位制をやめたんだ。これで、お金は物理的な世界から解放されて、人間の想像力だけが頼りになったんだよね。

それから、いろんな金融商品が作られるようになって、コンピューターとかインターネットの登場で、さらに加速したんだ。今では、お金は麦とか貝殻じゃなくて、ビットとバイトで管理されてるんだよね。

ヤコブ・フッガーとか、ロックフェラーは、帳簿とかを使って財産を管理してたけど、今の金融資産は、ほとんどがコンピューターの中にある。現金を使う人も減ってきて、現金を使うのは、インフラが遅れてる国とか、違法な取引だって思われるようになってきた。

今のお金のゲームは、デジタルな世界で行われていて、お金は画面に表示された数字でしかない。口座にあるお金は、一見すると現実的に見えるけど、ただの数字でしかないんだよね。明日になっても、その数字がちゃんとあるって信じているから、このシステムが成り立っているんだ。

今のお金のゲームは、まるで遊園地みたいだよね。昔は、銀行にお金を預けるくらいしかなかったけど、今は、いろんな投資方法がある。金融アプリは、中毒性を持たせるために、たくさんお金を使ってるんだよね。

でもね、選択肢が多いのはいいことばかりじゃないんだ。危険な誘惑も多いんだよね。

遊園地に行くと、「不動産投資で一攫千金!」「この仮想通貨は絶対上がる!」「このNFTは掘り出し物!」みたいな声が聞こえてくるよね。「今すぐ投資しないと損するよ!」みたいな。

お金の世界で迷わないためには、現実を見ることが大切だよ。これから説明する基本的なことを守れば、きっと理想の生活を送ることができる。すべての乗り物に乗る必要はないし、誰かと競争する必要もない。

成功するためには、基本を守って、長くゲームを続けることだよ。

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